どくたーすらんぷ あまのさん

医学という特異な世界にどっぷり入り込んだあまのの日常

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亡くなった子どもが残すもの

ただいま、産婦人科を勉強しております。
産婦人科というと、お産のイメージで手技的な内容が多そうだと思っていたのですが、
ところがどっこい、かなり理論的で頭を使う事が多く、興味深くお勉強させて頂いております。

その中で、とても印象に残ったお話をば。

妊婦さんは、子供が生まれそうな時期になると血液が固まりやすくなります。
なぜなら、妊婦さんが子どもを産む時はたくさん血が出るからです。
今はお医者さんがいるので大丈夫ですが、人間がウッホホホーと鳴いていた時代は医者がいないため、
血が出た際に、血が止まりやすくなっていないと出血多量で死んでしまう可能性があるのです。
(副作用として、妊婦さんは血栓症という体の中で血が固まるという困った病気もでてしまいます。)

この血液が固まりやすくなる作用は、妊婦さんのお腹が大きくなるにつれて
エストリオールという物質が体の中でどんどん増えていくことで高まり、子どもが生まれる際に最大になります。
人体とは良くできていますね。

そんなこんなで勉強を進めていく中で、
「子宮内胎児死亡においては、DICを起こす危険性がある」
という記述がありました。

これはつまり、妊娠中の赤ちゃんがお母さんのお腹の中で亡くなってしまった場合、
お母さんの血液が固まる作用がもの凄く進む病気になりうる、という話でした。

この記述の理由が気になったため調べてみたところ、
お腹の中で亡くなった赤ちゃんを長時間(4週間以上)子宮内にいれたままにしておくと、
亡くなった赤ちゃんの体から血液を固める物質が溶け出てきてお母さんの血液に混ざり
お母さんの血液が固まりやすくなるという仕組みでした。

何となく、以下のようなストーリーが思い浮かびました。

赤ちゃんが十分大きくなる前にお腹の中で亡くなってしまった時、
お母さんのエストリオールの量は十分に多くなく、お母さんの血液が固まる作用はまだ十分ではない。
このままでは、亡くなった赤ちゃんを産み出す際、お母さんの出血が止まらないかもしれない。

そこで赤ちゃんは死んだ自分の体が外に出る際の出血からお母さんを守ろうと、
亡くなってなお、自分の体から止血剤を出しているのではないか?


すこし昔、さる偉い教授先生と二人でお話をした時、
「科学者として、現存する生命の仕組みに『理由』を求める事は好ましくないが
 理由付けする事で、案外説明がつけやすいって事があるんだよなあ」
というような事を言われた事が今も印象に残っています。

全く的外れかもしれませんが、
こんな風に思って一つ一つの疾患を見ていると
理由があるように思えてきてしまいます。何となく楽しいモノです。
  1. 2011/05/27(金) 02:27:07|
  2. 医学部関連


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